檜原御霊神社

≪檜原日奉社≫

　檜原御霊神社は、日奉大明神24代氏重の霊を祭った神社である。彼の日奉族としての本名は季長で、後北条から「氏」の字を頂いて氏重［季重以来氏重の名は平山氏で用いられていた］とした。檜原村は、季重時代から不連続ではあるが、日奉族が領有していたと思われる。後北条の勢力が浸透して来るまでは、日野・日の出・檜原等の地名が示すように、穏やかな縄文精神:日奉精神:総合知の流れる村落が形成されていた。[コーサラ国の侵攻を受ける直前の釈迦族を想像して欲しい]　檜原街道が、本宿で北秋川沿いと南秋川沿いに分かれる分岐点の正面に急峻な崖があり、そこが日奉大明神を祀る檜原城である。突如、伊勢の油売り商人出身［実際の出自は違うが日奉族は嫌っていたので］の後北条が現れて、村落が分析知の世界に巻き込まれた。檜原城主であった平山政重・氏重父子は、後北条の配下に編入されて、後北条と甲州武田勢力との対立の最前線に立たされることとなった。すなわち、檜原城は西向きに防御態勢がとられていた。しかし、豊臣秀吉の小田原城攻略の際に、八王子城を落城させた前田利家軍によって、檜原城の東側から攻められて、天正18年(1590)7月12日に城主氏重は自害した。後に、村民によって檜原御霊神社として祭られた。明治維新以後に学者によって、関東の風土から生まれた「もののふのみち」を「武士道」と混同されているが、後北条や武田は分析知の「武士道」に属する武士で、氏重は総合知の「もののふのみち」に属する最後の武士である。「もののふ」は、ただ領民のために戦い、領民のために命を絶つのである。江戸時代に入り、武士は全てサラリーマン化して、分析知の中に取り込まれた。[同時期の日蓮宗不受不施派や総本山化も、権力側からの総合知から分析知への移行であり、これも同じ歴史の流れである]

　檜原という地名は少なく、福島県にあるだけです。何といっても気になるのは、律令体制の日本列島への浸透のために天照大神が創造され、皇室に祭られていたが追い出されて、10か所以上転々と放浪して、伊勢に安住の地を求めた訳だが、その最初の移転先が奈良の檜原神社であることである。福島には日奉氏が展開しているようですし、奈良の檜原神社と日奉氏のいた桜井他田宮も近いので、何らかの関係がありそうだ。伊勢神宮の遥拝している真諦は、関東平野に伏流している縄文精神=総合知である。