歴史の脈動

日本精神の脈動   HP

 人類の未来の精神として、1万年を超える縄文の昔から日本列島に生活した人々の心の奥底に流れ続けている最古の精神を考えている。この精神は列島に西や南や北から次々と渡来した論理性の強い思想を、列島の時空が宿している固有の記憶[風土]に照合して、自然で穏やかな思想に変える機能を持っている。この機能は、列島の時空が宿している固有の記憶[風土]そのものが太古より長い年月を掛けて列島に渡来した人々の営為が生み出したものであり、それゆえに外来の思想を咀嚼し穏やかなものに変える力を持っていることによる。このために、中華文明の動乱・大航海時代・蒸気機関の発明という外からの影響を受けて、それぞれ時代の論理性に引き寄せられるものの、暫くすると日本の固有の風土に引き戻されて自然化が進むという脈動運動を繰り返して来た。

 日本精神の発達過程には、中華文明興隆の影響が波及した弥生期から平安期までの大陸文化の受容期があって東アジア信仰[仏教・儒教・道教]と縄文以前の太陽信仰との融合〔AD577年:日奉部の成立〕による古代神道〔AD712年:古事記、AD720年:日本書紀〕の誕生や暦博士と漏刻の渡来による時の意識変化があり、第二段階として日本列島に大陸文化が飽和して各分野での国風化が台頭した時期があって渡来仏教と房総太陽信仰との融合による日蓮宗〔神道的仏教〕の誕生があり、第三段階として宋学や禅やキリスト教的論理から離れた純日本的精神の誕生があって古義堂〔8代外祖伊藤仁斎〕や国学〔本居宣長〕の誕生がある。

 未来の精神としては、第四段階になるが西欧近代科学を始めとする論理性の高い現代思想の自然化が行われることになるが、本研究会のテーマとなっている。